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[創業者対談]クラウドエース×株式会社カオナビ(3/3)

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Part3: 上場して良かったこと

前回の記事はこちら




吉積: 上場して良かったことに、社員がその気になってくれたこと、とありますが?

柳橋さん: まあ、さっきと同じ話になってしまいますが、喜んでくれたと思います。あとは、今までと仕事への意識が変わったなと。特にコンプライアンスに対する考えが高まったなという実感はありますね。対外的な見え方も以前よりも気にするようになりましたし、上場企業としてこういう発言をするべきだっていう意識も向上していると思います。社員からすれば、自分が所属する組織な訳ですから、その組織の格が上がったっていう実感もあるんじゃないでしょうか。社員が自ら規定に準じた仕事をしようという意識が高まり、組織として働き方のリテラシーが上がったという感じがしますね。

吉積: 他に採用面など、どうでしたか?

柳橋さん: 現場はやっていないので詳細はわからないですが、上がったと思いますよ。採用という観点とは少し違いますが、上場後6月から、カオナビ NEXT FUND っていうものを始めました。これからHR Techの事業を始めようとしているスタートアップに、カオナビ社が出資して、業務ノウハウを注入して支援しますよっていうスキームです。そこに、質の高い応募がすごく入って来るんですよ。それは、やっぱり上場で知名度が上がったことも大きいと思うんですよね。面白い出資機会とかも見れるし、やっぱり優秀な人が集まって来ますよね。そういうところをみてると、上場して良かったと思いますね。

吉積: これは上場する前から計画していたんですか?

柳橋さん: その前後だと思いますね。こういう施策ができるようになったことが嬉しいですね。未上場だと、こういうことをやってもあまり効果がなかったかな、と。

吉積: BtoBだもんね。

柳橋さん: あとは、カオナビコネクテッドパートナー っていうのも始めて。これは、他のサービスとの連携どんどんしていきましょう!っていうものです。これも上場していなかったら、サクッとはいかなかったなと思っていて。上場しているからこそ、一緒に連携しましょうという話がスムーズに進むようになったかなと。NEXT FUNDとコネクテッドパートナー、この2つで上場効果を僕は特に実感しましたね。

吉積: やっぱり信頼だよね。

柳橋さん: 例えば上場を跨いでいる案件で、上場のニュースがでたら、稟議通しやすくなったとかって言われる時もありましたね。

吉積: うちは Google Cloud™️ やるならうちが、っていうステータスになって来たので、それ関連で Google Cloud やるならパートナーになって一緒にやりましょう、っていうのは結構ありますね。

柳橋さん: Google Cloud をやっている他の会社の、中心的な存在になっていく上で、上場の効果はあると思いますよ。

吉積: 世界で初、Google Cloud で上場した会社として、海外に出ていく、というブランディングのためにまずは上場しようと思っています。

柳橋さん: いいと思います。


こういうケースだと上場しなかった


柳橋さん: 僕は、経営者は面白いと思うんだけど、オーナーシップにはあんまりこだわらないんですよ。でも、最初経営者をやりたいなったときに、必然的にオーナーにならなければならなくて。なので、バイアウトってオプションもありました。

吉積: でも、もし バイアウトした先の会社の方針には合わないけど、どうしてもこれをやりたい、というのがあった時に、それはできないじゃないですか?

柳橋さん: その時はサクッと辞めると思います。バイアウトしても、カオナビの経営は僕が一番上手だから、僕に合わせてくださいって普通に言うと思うんですよ。それを資本の関係でダメって言われたら、「じゃあ辞めます」と言って僕は辞めますね。執着心がないタイプなので。でも今はまだ経営者としてやりたいし、やれると思うから、その間はしっかりとかじ取りしていきたいとと思うんですけど。

吉積: その執着心のなさはすごいね。

柳橋さん: 執着ないんですよ、本当に。だから、吉松さんとかとも話していると、すごい差を感じるんですよね。

吉積: でも、辞めてどうするんですか?また起業?遊んで暮らす?

柳橋さん: 遊んで暮らす...というか、細々と暮らす。だって、シリアルアントレプレナーなんて、僕には気が狂ってるようにしか見えないですもん(笑)。僕は、絶対人生で1回しかできないです。やったとしても、小さい商店とかかな...。資金集めて、事業投資して、人を雇って、とかはもう絶対やりたくない。立ち上げの時期が苦しすぎて、あれはもうやだって感じですね。

でも、さっきのカオナビNEXT FUNDの話で、スタートアップの若い経営者とかとも会うんですけど、今の若い人の感覚って違うなと思いますね。資金の環境とかもだいぶ整っているじゃないですか。だから、なんかすごいポップに起業したな、みたいな人も結構多いですね(笑)

でも、お前ポップだな!って言った瞬間に、オヤジのパワハラになっちゃうでしょ。だから絶対言えないし言わないんだけど、心の中で俺の時よりすごいライトだなと思うことは多々あります。口に出したら老害ですけどね(笑)




吉積: 僕も、途中から野望がだんだん大きくなっていって、アクセンチュアと勝負するレベルを目指したくて。Cloud Integration, Google Integrationで海外も含めて、伸ばしていけるかなと思っていて。そういうのも含めて、SIのやり方を変えていける、というところをやりたいから。そこまでコミットしてやってくれるBuy Out 先はでてこないだろうな、と思ってます。

柳橋さん: 吉積さんの会社って、途中でいきなりペースが上がりましたよね?

吉積: 分社化したタイミングで外部資金をいれました。

柳橋さん: 昔は外部資金入れたくない、って言ってませんでした?

吉積: 言ってた。でも、Google Cloud でNo.1になるって決めた時に、なんなら世界一を目指すという方向性でやると決めました。だから、執着心かもしれないですよね。Google Cloud は僕が日本で育ててきたみたいな時に、他にいくつか企業が参入してきて、これは負けるわけにはいかないよね、と。もし資金を入れて勝てるんだったら、やろうか、と。それでまあ最低何割か持っていれば変なことにはならないし、100パーセント持っていなくても、ある程度のオーナーシップ発揮できるだろうというところもありましたし。

柳橋さん: 事業を大きくしていこうとすると、自分の仕事を占める割合の中で、経営者業が増えて来ますよね?経営者に特化していかなければならない、という思いはありましたか?

吉積: 経営者業しかしてない、という気で一応いたから、そんなに変わってないですね。

柳橋さん: じゃあそこで自分の考え方をギアチェンジするということはなかったんですね。外部資金を入れてなかったら、株主とのやりとりとかも、ないじゃないですか。基本的には目の前にいる社員とやりとりして入ればいい。でも、株主マターが色々発生するじゃないですか。そういうのはストレスには感じなかったですか?

吉積: あ、そういう意味だとそれは、どうかな。それはそういうものでしょ、って割り切ってましたね。あるがままですけどね(笑)




柳橋さん: 上場に関しては、驚くほどスムーズに審査が通ったので、上場メンバーにはとても感謝しています。アイスタイルでも上場プロセスは経験してるんですが、その時と比較するとあまりにもスムースだったっていう感じですね。スタッフがしっかりやってくれてたんでしょうね。経営者としては、神輿に乗っかってるだけでよかったっていう感覚がありますね。

吉積: アイスタイルではどんな役割だったんですか?

柳橋さん: 人事部長として、労務的な諸問題の審査関連を色々やっていました。スタッフ側だったので、そういったすごく細かい作業や対応が、上場プロセスの中ですごく大変というイメージがあったんですよ。でも社長として望んだ時には、細かい作業は全部やってもらえるので楽でした(笑)スタッフが優秀じゃなかったら、こういう問題が起きましたっていうのが上がってくるんでしょうけど、それもなかったので、スタッフにはすごく感謝していますね。

吉積: そうですね。僕も今そんな感じですね。

柳橋さん: あとは、これまで支えてくれた両親、妻や子ども、先生、先輩など、いままで関わった、すべての人に感謝しています。仕事をやってて、無条件で関係者全員が喜んでくれるイベントってなかなかないですよね。僕的には、ビジネスにおいては唯一だと思っていて、喜んでもらえるってことに関しては無敵のイベントですよね。

あ、でも僕個人としては、上場日はめちゃくちゃブルーでしたね。あ、「もうこれでいっちまった...」みたいな(笑)面白いもので、他社の上場の方が圧倒的に嬉しかったです。だから、僕はアイスタイルの上場の時はすごく嬉しかったんですよ。もうアイスタイルは辞めてるのに、始めた時からを知ってるので、胸が熱くなって。ここまで来たんだ、って感慨に耽りましたね。

でも自分の上場のときは、喜びや達成感というよりは、貴重感とプレッシャーしかなかったですね。周りが喜んでいることが、よりプレッシャーだった。吉積さんもその日になったら教えてください(笑)

吉積: ちょっと、なんかやばい人だね、強迫観念受けすぎじゃない?(笑)

柳橋さん: 結構そっち系の人なんですよ。

吉積: 僕はまだまだ途中なので、これからだよね、という感じです。

柳橋さん: 僕は、今回のこの企画にめちゃくちゃ相応しくない人ですね。

吉積: いやいや、いろんなバックグラウンドを聞けて、勉強になりました!ありがとうございました!




編集後記

上場にはあまり執着がないと語り、逆に上場だけではない様々なオプションがあったと言う柳橋さんのお話は、とても新鮮だったのではないでしょうか。

上場したからこそ可能になった新しい施策なども、今後上場を検討する企業にとって参考になるのではないでしょうか。

次回もお楽しみに!

編集・撮影:杉山・織田(クラウドエース株式会社 事業企画部)


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